ホワイトカラーエグゼンプションのハナシ。
個人的にはもうずっと以前にこの問題へはケリをつけているので、なんだか気分がついていかない。何はともあれ、とにかく労働基準法改正論議があり、さまざまなところでこのキーワードが飛び交っているのは事実。
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当初、仕事と私生活のバランスを見直すのに、ホワイトカラーエグゼンプションが必要な理由が理解できなかった。しかし、Wikipediaにあった一文を読んで納得。
安倍晋三内閣総理大臣はホワイトカラーエグゼンプションについて、「残業代が出ないのだから従業員は帰宅する時間が早くなり、家族団らん増え少子化問題も解決する。」と述べている。
「カネなら払わん!」と公言すれば、みんな働くのをセーブするでしょ、と。そういうことらしい。このロジックの是非は充分に検討されてしかるべきだが、あえてここでは触れない。
この問題を日本人の伝統的な労働スタイルの是非ととらえると、この人のような壮大な物言いになるだろう。
2007年を斬る:「働く」って何だっけ? (ニュースを斬る):NBonline(日経ビジネス オンライン)
私は「カネを稼ぐために働く」のが心底キライだ。また、労働そのものに喜びを見いだすようなエグいメンタリティの持ち主ではないので、働かなくてもいいほど金持ちなら、絶対にカネ稼ぎのために働いたりはしない。したがって、労働スタイルのハナシとして今回の法改正を見つめるとまるで興味が持てないのだが、法律が規定する「給与の位置づけの変更」ととらえると面白く感じる。また、ホワイトカラーエグゼンプションの本質もそこにあると思っている。
公には給与は「勤務に対する対価」ということになっている。しかし公務員以外の全員にとって、給与は「利益の配分」であり「労働の対価」たり得ない。
実に単純なハナシだ。儲からない事業を行う企業は、勤務への対価として給与を支払うことは不可能だ。これが現実の社会のルールだ。
公営の各種サービスはそれ自体が存在しサービスを提供し続けることが目的になっている。存在自体が目的なら、提供時間そのものが商品となりそれに対して一定の対価が支払われるのは理解できる。しかし、一般企業は利潤追求が目的であり、利潤を得るからこそ存在することができる。したがって、私企業の本質は永続的な利潤追求であって労働そのもではない。
従業員全体の総労働量に対し、利益が常に正比例するなら単純なのだが、現実には労働量と利益は比例しないケースがままある。現実としてそんな状況下にあるのに、給与を勤務の対価と位置づけるような偽善行為にこだわり続けるから、みんなが誤解し怒り出す。世の中の経営者は、もっと正直になるべきじゃないのか?そのための手段として「ホワイトカラーエグゼンプション」というお墨付きを利用したくなる気持ちは、なんとなく理解できなくはない。
仮にホワイトカラーエグゼンプションが合法的に認められるとして、その場合、従業員はどのように立ち回ったらよいのだろう。ホワイトカラーエグゼンプション下での従業員には、利益配分比率が不当に低く設定されてしまうリスクがある。しかし反対に、この状況を逆手にとると給与アップを狙うことも不可能ではないかもしれない。
もし自分が経営感覚に優れた従業員であるという自覚があるなら、会社全体の経営状況から自らの判断で、自分の妥当な給与水準を推し量ることができるはずだ。説得力のある説明ができ、且つ、経営者が有能であるなら、場合によっては交渉次第で自らの給与を引き上げられる可能性もないわけではないと思う。(…というか、私はずっとそんな交渉を個人でやってきた。)
つまり今回の労働基準法改正の大前提となるのが、ディスクロージャー。ホワイトカラーエグゼンプションを導入する企業は自社の経営状況と財務内容を内外に向けて充分に開示する必要がある。最低でも証券取引法あるいは商法によって定められている程度にはディスクロージャーが行われないと、利益配分の正当性を裏付けることができないし、それを第三者が検証することもできなくなる。それができないなら、ホワイトカラーエグゼンプションは導入すべきではない。あるいは、ディスクロージャーを行わない企業がホワイトカラーエグゼンプションを導入することは、法律で明確に禁止されるべきだ。
今回の労働基準法改正にまつわる問題は、労使関係だけを考えていたのでは解決の糸口が見いだせないだろう。また、多くの会社員の労働環境を一変させる可能性があることも確かだ。恐らく従業員全員が経営感覚を磨く必要があり、今までと同じようにのほほんと働いていたのでは、雇われの身としては儲け損なう可能性があるということになる。現実に目を背けても意味がないので、これからの世の中をどう渡っていったらいいのか真剣に考える必要があるだろう。
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