ITmedia News:Appleブランド「iPod携帯」はソフトバンクとの共同開発との報道
ソフトバンク:「iPod携帯」投入 アップルと最終調整−今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
アップルがソフトバンクと携帯電話で提携?--広報は「ノーコメント」 - CNET Japan
久々にそそるニューズ。
iPodと携帯電話を統合した「iPhone」をAppleが開発しているのではないかという噂は、Macコミュニティではずいぶん前から囁き続けられてきた。それは「ROKR」というカタチで実現はしたものの、日本のキャリア向けに提供されることはなく現在に至る。今のところ、Appleは日本の携帯電話マーケットに参入する素振りは見せておらず、それはあくまでも妄想レベルに過ぎなかった。
ITmediaの記事によると、今回のこの噂の出所が日経の報道だという点が何とも微妙。情報源が日経となると飛ばしの可能性も充分にあるので、取り扱い注意な話題だ。したがって、まずはAppleの反応を待ちたいところではある。しかし、荒唐無稽なハナシではないのでとりあえず踏み込んでみる価値はあるだろう。
まずソフトバンク側から考えてみると、彼らが携帯電話向けの音楽配信サービスを必要としているのは間違いない。このマーケットは既に無視できない規模(2004年の時点で、音楽ソフト市場全体は5,869億円。そのうち、携帯ダウンロードは1,300億円強。約22%程度を占める。)に成長しており、いくら新規参入であるとはいえ、このサービスにおいてキラーソリューションを欠いたままでは明らかに見劣りがする。そこで、ソブトバンクがAppleそしてiTunesに目を付けるのは必然だ。
確かに、音楽配信においてiTMSは全世界レヴェルでの一人勝ち状態で、まともに追撃しているサービスは存在しないと言い切れる。しかし、携帯向けの音楽配信サービスに目を向けると、そこでは「着うたフル」がリードしている。携帯電話向け音楽配信サービスでは世界規模のマーケットは成立していないため、あくまで日本ローカルの話になるが、「着うたフル」と「iTMS-J」を強引に比較しても、実は「着うたフル」が勝っている。au以外のキャリアにしてみれば非常に苦々しい現実であり、Appleとしてもこの市場を放置したまま見過ごすのは得策ではない。したがって、Appleが携帯電話向けの音楽配信サービスに参入するのは時間の問題なのだ。
その際、注目されるのが現行iTunesソリューションとの整合性の確保であり、携帯電話キャリアの動向よりはAppleの出方が注目される。iTMSが成功を収めた最大の要因が、iTunesソリューションが提供する洗練された操作感にあることは間違いない。そのため、いくら携帯電話向け音楽配信市場がオイシイからといって、iTunesソリューションがこれまで提供してきた「手軽さ」を実現できなければ、いくらAppleとはいえ成功はおぼつかない。むしろ、これまで築いてきたiTunesのブランドに傷を付けることにもなりかねない。Appleが慎重な姿勢を崩さないのは無理もないことだ。
これまで、NTTドコモがiTunes搭載機の開発を検討しはじめたという情報はあった。そして、今回のソフトバンクの噂を総合すると、このマーケットにおける「着うたフル」の圧倒的な強さが浮かび上がってくる。要するに、iTMS-Jを巻き込まないと現状既に勝ち目がないのだ。
しかし、いくらPC向け音楽ダウンロードサービスで圧倒的な強さを誇るiTMS-Jであっても、携帯向け音楽ダウンロードサービスでの強さは未知数だ。確かに、商品単価では圧倒的に有利だ。しかも、iTunesソリューションとの連携を実現できれば、一挙に挽回できる可能性は充分にある。しかし、マーケットにおいてそれなりのボリュームで存在感を示すSME系アーティストを欠くiTMS-Jは、今ひとつ決定打に欠ける。しかも、既に多くのユーザを獲得しているauが投入してきた「LISMO」は、携帯向け音楽ダウンロードサービス市場において、iTunesソリューションの代替に育つ可能性が多いにある。
では、後発組が「着うた&LISMO」に対抗するにはどうすればいいか。ちょっとだけ大胆な仮説を立ててみる。
ずばり結論から言うと、携帯電話を音楽再生デバイスに代替するという発想を捨ててしまうことである。もちろん、携帯で音楽データをうまくハンドリングするための仕組みは必須だ。しかし、音楽再生デバイスと携帯電話を融合しようとする試みは現状ではナンセンスなのだ。なぜか知らないが、携帯電話キャリアはそのことに気づかない。
携帯電話向けサービスを考える上で、絶対に忘れてはならないことが一つ。それは「鳴らない電話に用はない」ということ。
ビジネスおよびプライベートの両面において、現在の携帯電話は非常にクリティカルなデバイスになってしまった。このデバイスの機能不全による、コミュニケーション機会の損失は決して許されない。そもそも、バッテリーに不安を抱えたまま携帯電話を高機能化している現状が異常なのだ。現在発売されている音楽サービス対応携帯電話の、連続再生時間は何時間あるというのか。iPodの連続再生時間と比較すると、そのデバイスとしての基本性能の脆弱さが際立つ。したがって、携帯電話のバッテリー問題が根本的に解決されない限り、携帯をiPodの代わりに利用する習慣は根付かないと予想される。少なくとも、既存のiPodユーザがiPodを手放すほどのメリットを持ち得ない。
そのため、現状の主力層である着うたユーザは、iPodユーザのセグメントとは競合しないと考えてほぼ間違いない。しかし、あれだけの規模を持つユーザ層が相互に独立して存在するというのは、いかにももったいない話ではある。その問題に対するauの回答はLISMOだったわけだが、Appleはその回答を示していない。しかし、Appleが動き出すのは時間の問題だ。そして、ソフトバンクの参入がそのきっかけになる、というのはタイミング的にも悪いシナリオではない。しかし、上記バッテリー問題を解決しないことには、ソフトバンク&ドコモ勢が着うたを追撃することはできない。
ここで発想の転換が必要になる。まず、LISMOの弱点を考えてみる。LISMOはなかなかよく出来たソリューションだ。PC用の音楽データ管理アプリケーションの出来も悪くない。一見すると、LISMOは順調に成長するように思える。しかし、あくまでもそれは「着うた&PCユーザ」という属性を持った、限定されたセグメントのハナシであって、LISMOでiPodユーザを取り込めるとは思えない。
なぜなら、iTunesにあってLISMOに決定的に欠けているものがある。それが、iPodだ。
iPodが携帯電話ではないという一点こそが、iTunesが着うたに対して持つ最大のアドヴァンテージだ。iPodユーザは音楽を楽しむ際に、コミュニケーション機会の損失リスクが存在しない。iPodのバッテリーが切れたところでそれまでのことで、携帯電話は問題なく使える。しかもその際どうしても音楽を楽しみたいのであれば、携帯電話から着うたを利用できる。これこそ、iPodユーザのみが享受できるメリットだ。したがって、ソフトバンク&ドコモがAppleを巻き込んで着うたとまともに勝負するためには、iPodをいかに活用するかが鍵になる。
つまり、携帯電話とiPodのコネクティヴティの確保、これこそが着うたを追撃するために必須の条件だ。その際、ネックになるのは「iPod−iTunes −携帯電話」の3つのデバイスをシンクロする方法になる。そして、その方法は現状のiTunesソリューションが持っているオートシンクでなければならない。そうなると、現状Appleが採用しているDRMである「Fairplay」を拡張する必要がでてくるだろう。恐らく、Appleが二の足を踏んでいるのはそれが理由だと思われる。しかし、携帯電話をiPodと接続することができれば、PCを経由せずにiTMS-Jから音楽データを購入する可能性が開ける。これはAppleにとっても、大きなメリットとなるはずだ。もしソフトバンクがそれに気づくことが出来れば、Appleを本気にさせることができるかもしれない。
また、もしこの予想が当たるとすれば、SMEがiTMS-Jに屈するのは時間の問題になる。iPod市場と着うた市場が融合し始めたら、それはもう音楽ソフト販売市場のメインストリームになるのは間違いない。それを知りながらMoraに固執し続ける体力は、現在のSMEにはない。
したがって、もしソフトバンクがAppleを巻き込むことができれば、それは携帯電話市場だけでなく音楽マーケットをも揺るがす大きな変化を生み出すキッカケになるだろう。個人的には、この予想が当たってくれることを切実に願っている。
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