思い切り〆切に遅れた今、エントリーなんかしてる場合じゃないことは承知しているのだが。どーしても次の作業にどっぷりハマりこむ気分にならないので、雑感をばエントリすることに。
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今ハマり中のラフマニノフ。ピアノ・コンチェルト第3番といえば、ホロヴィッツかアルヘリチと相場は決まっているのだが、それだけじゃ満足できないので、20人のピアニストによる演奏を連続して、しかも繰り返して聴き込んでいる。そろそろ一度手放した楽譜を再び買ってきて、スコアを見ながらDIGる時期にさしかかってきたような気がする。
クラシックの場合、スコアは設計図なわけだが、時代をさかのぼるほどその設計図はアバウトになりメモ程度の意味しか持たなくなる。しかし、ラフマニノフのように現代(?)の作曲家の作品の場合、その設計図はかなり精密に意図されて書かれることがほとんどだ。
クラシック系の様式を持った作品を作る時、インスピレーションは多くて2つだけあれば作業に取りかかれる。ヘタすると、なにも思いつかなくてもロジカルにひねり出すこともできる。(ただし感動的な作品に仕上がるかどうかは別の問題。)多くの場合、一つ思いついたフラグメントをパラフレーズしていくことでコマとして使えるフラグメントを増やしていくことができる。このへんのアイディアの豊富さはその作曲家の技量にかかっているので、このバリエーションを多く作れる人ほど才能豊かな作曲家ということになる。(ちなみに、私の場合最も多くて10個くらいしか思いつかないので、私はそれほど優秀な作曲家にはなれない。)
得られたフラグメント群を使って作曲を始めるわけだが、このフラグメントを文字通りデヴェロップメントしてゆく行程は何度やってもプログラミングに似ている感覚に陥る。私の場合音を扱ったほうが脳内の快感が高いということくらいしか違いはない。一つのフラグメントをそれぞれ異なったテイストと機能を持ったフラグメントへ展開していく過程と、一つのクラスから少しづつ異なるクラスを派生させていく過程は感覚的にはほとんど同じだ。それらは単に言語の違いでしかない。
だから、作曲ができないという原因と、プログラムが書けないという原因と、作文ができないという原因は、まったく同じで、その言語の仕組みとスタイルに関する知識量が少ないという一点にその原因を集約できるのだ。だから、これらについて熟達したければまったく同じ方法で勉強することができる。
まず、一通り文法を学んだら、過去の作品に触れて、読んで、真似して、改変して、お手本なしに新たな型が思いつくようになったら、どんどん書く。そして、また読んで、また真似して、また改変して、またどんどん書く。これの繰り返し。思いつかないのは記憶している量が足りないからで、ある一定の量を超える記憶がなかったらお手本なしには作るという作業はできない。作る作業は常に記憶のシャッフルの中から生まれてくるものなので、本当に白紙からものを作る能力は人間にはない(と思う)。「白紙だ」と勘違いするのは単にその過程を忘れているだけなので、心の底から「ゼロからの創造」を感じられる人というのは、忘れっぽいのだと思う。ある意味、とても幸せな人だ。;-)
ただし、記憶をシャッフルしすぎると「よいものとわるいもの」の区別がつきにくくなってくるので、そういうときアタマを沈静化させるために「忘れる」ことが必要になる。その過程を経ると、とつぜん質の高い「思いつき」がでてくる。そこらへんのメカニズムを体感すると、脳ミソってのはホントによくできているものだと、いつもながら感心する。
…ってなことを久しぶりに思った。何か重要なことを書いたような気がするので、エントリーしておくのも悪くないだろう。問題はあとでこのエントリーを読み返すかどうかだ。あとから、このエントリーの存在を思い出せるだろうか…。
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(05-08, 2006 追記)
ちょっと面白いエントリーを発見。
Passion For The Future: バッハ インヴェンションとシンフォニア
…インヴェンションとシンフォニアは、創意工夫で簡潔なコードを書くハッカー的だといえそう。最低限の部品で音のあらゆる機能の可能性を実現していく。これは音楽のハッキング集だ。コンピュータ技術出版社のオライリー風にタイトルをつけるとしたら、Music Hacks By JS.Bachといったところだろうか。
「ハッカー的」というところまでは思い至っていたけど、オライリーまでは思いつかなかったw
バッハ、ベートーヴェン、ブラームス等は、かなり変質的な(笑)論理構築の名手で、彼らの異能が最大限発揮されるのが「変奏曲」。例えは悪いけど、元ネタをしゃぶりつくして骨まで残さず全部食べました、みたいなどん欲な創作意欲が感じられて非常に面白い。彼らのヲタっぷりを堪能するには、『ゴールドベルク変奏曲/バッハ』、『ディアベッリ変奏曲/ベートーヴェン』、『交響曲第四番/ブラームス』それも第四楽章が特におすすめ。
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