CNET Japan Blog - 江島健太郎:音楽を聴くことの自由
江島さんの考察は理念的な面からの考察だったので、ここでは反対にビジネス的な視点から考察してみる。
Rhapsodyみたいに一見ヤバそうなものまで投入して、リアルが実現したい事はひとつ。リアルはiPodを乗っ取りたいのだ。
Phapsodyの発表があった時は、まず最初にリバース・エンジニアリンング疑惑が気になったのだが、今思うとそんなことはどーでもいいような気がしてきた。(w
リアルネットワークス(以下、リアル)の目的ははっきりしている。iTunes Music Storeが独占的に握っている音楽コンテンツのダウンロード販売市場から利益を横取りすることにある。表現はキツいが、ホントにそういうことなのだ。
これまでに何度も書いてきたが、はっきり言ってしまうと、今、Appleが成功しているように見えるものの実体は、iTunes Music StoreではなくiPodだ。iPodの販売益を上げるためにiTunes Music Storeが存在しているのであり、iTunes Music Store自体はそれほど大きなビジネスにはなっていない。思いきり薄利であり、且つ、近い将来その事態が劇的に好転することはない。それは断言してかまわない。
そのような脆い基盤の上に成立している市場に、多少ヤバめの互換DRMを投入してまでリアルが参入したい理由は何だろう?単純に考えればこうなる。ハードウェアを開発・販売するリスクを犯さずに、iPod市場から収益を上げる方法はこれしかないからだ。
携帯音楽デバイス市場におけるiPodの成功は、もはや揺るぎないと表現できるレベルに達しつつある。そのような状態の市場で、競合デバイスを開発投入して負け戦を戦い抜く体力は今のリアルにはない。そうなると次に着目するのは、iPodの中身であるコンテンツから上がる収益である。
音楽コンテンツのダウンロード販売は現時点では旨味の少ないビジネスだが、将来的に事業を継続していけば、常に一定の収益を確保できるビジネスに成長することは間違いない。また、イニシャルを比較的低く抑えて始めることができる。その商品である肝心のコンテンツ自体は外部から調達してくるものであって、リアル自身がコンテンツの開発リスクを負うこともない。さらに好都合なことに、Appleががんばってくれちゃったおかげで、ある程度普及したDRMまですでに存在する。AppleのDRMを乗っ取ってしまえば、DRMの互換性問題で悩むこともなくなり、さらにリスクは低下する。
ようするに自前の努力は最小限に押さえて、iPodが開拓した市場から収益を上げることを狙っているわけだ。それ自体はいい着眼点だと言えるかもしれない。しかし、一方で生まれたばかりの市場が衰退してしまうリスクがあることも見逃せない。
問題は、音楽ダウンロード販売が薄利であることにある。
コンテンツの価格は著作権料に加えて販売コストおよび利益が乗せられて決定される。消費者にとってみると比較的利幅が見えやすい商品だ。そのような商品で価格面での競争を強いられる場合、利幅が限りなくゼロに近づく可能性がある。また、肝心のコンテンツ調達が難しくなってしまうという側面もあるだろう。
DRMの解放が重要なテーマであることは間違いない。しかし、タイミングを誤ると少ない利益をお互いに食い合うようになり、まったく旨味のない市場に成り下がる可能性もある。本来ならば慎重に事を運んだほうが、Apple、リアルの双方にとってメリットが大きくなるはずなのだ。
リアルは何を焦っているのだろう…って、なんでもいいからポジティヴな話題が欲しいからに決まっているのだが。(w
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