§ いぢめられるApple

Opinion:20年目を迎えたMac——その将来に待ち受けているものは?

上記ポインタにある記事の執筆者は、Macという文字のなかにいまだにレガシーなMacintoshを見いだしているようだ。その手の情報をちょっと気にかけている人が読むと、何事かいいたくなってしまうかもしれない。(私のことだけど。)まぁ、それこそあの記事を書いた人の思うツボなんだろうけど。…いやらしい根性だ。

今時Appleを単なるパソコン・メーカーだと思っているアナリストがいるとしたら、そいつはアホであるか無能であるかのどちらかだ。

ほぼ10年間ほど前からAppleを批判する人たちの論調は一貫していて「Appleの将来は暗い。マーケット・シェアが少なすぎるから、このままいけば絶滅種」であるという。今年もそういった駄文を積み重ねる一人が新年早々現れた。一般的に言って、PC業界の人々は近年のAppleの状況をよく知らない。(恐らく)興味も持っていない。彼らにとってAppleは既に終わった企業なのだろう。…だったら、放っといてあげればいいのに。

Appleをちょっと観察するとすぐにわかるが、彼らは単なるパソコン・メーカーではない。DellともMSとも比較できない企業だ。Sonyとはキャラかぶりな部分はあるが、Appleは決して競合できるような規模ではないし、Sonyはコンシューマ向けのOSを持っていない(Newsのことは忘れましょう)。

頭がJobsだからなのだろうが、とにかくAppleのやっていることはPC業界からはみ出している。PC業界においてPCとOSの両方を扱う企業は珍しい部類に入る。また、周辺機器とPCのコネクティヴィティを強く意識し、デバイスそのものを発売するだけでなく、それを介するサービスまで一社で提供してしまう(iMac、.Mac、iPod、iTunes、それにiTunes Music Store)という点では、Sony以外に類似した個性を持つ企業はないような気がする。

上のポインタにある記事の最もカッコ悪い点は、そういった特徴を踏まえず、Appleを評価するコンテクストを取り違えているところにある。

Appleがやろうとしてることをざっくりまとめると、コンシューマのデジタル・メディア体験を向上させ、日常生活の中にデジタル・メディアを密接にそして確実にリンクさせる、ということになる。これを実現するためには、パソコンだけつくっていたのではダメで、それを取り巻くデバイスそれらを適切に位置づける環境そのものを創造する必要がある。その目論見はまだ完結していないが、Appleが提供している製品とサービスを並べてみると目指している方向性は一目瞭然である。Jobsが前から繰り返し主張しているように、その中心でデジタル・ハブとして機能するのがMacなのだという。

でも。なんでこうも違うのか。なぜVaioはMacになれないのだろう? (最近のVaioをみていると、Jobsが復帰する前のAppleの迷走ぶりを思い出してしまう。なんだろう、あの複雑な製品ラインアップは。)メモリースティック・ウォークマンはなぜiPodになれなかったのだろう?ダウンロード・ビジネスで、なぜ「iTunes Music Store」だけが(今のところ)成功しているように見えるのだろう?これらの問題について掘り下げて考察しない限り、現在のAppleを適切に評価することはできないと思う。

Appleは100年たってもIBMにはなれない。そんなことははじめからわかっている。私(たち)がAppleに期待しているのはIBMやDellにできなかったことだ。つまり彼らがアプローチできないセグメントの消費者を対象としているのがAppleであり、AppleにはAppleの市場がある。彼らはそれが徐々に拡大することを願い努力しているが、基本的に市場規模に見合った経営をしているため現状においてはふさわしい成果を手にしている。そのことのどこが悪いのだろう?

パソコンの主要な使用目的がネットワークを経由するものにシフトした今では、Windowsとの互換性はそれほど大した問題ではなくなったような気がする。そもそも、ネットワークに接続されるデバイス(携帯、PDA...etc.)とそのOSはどんどん多様化しており、WindowsとMacみたいな単純な構図で語ることが不可能な現在、パソコンは多様なデバイスとつきあっていかなければならないわけで、ネットワークを介して扱うコンテンツにWindowsだのMacだのと言うのは意味が薄れてきているような気がする。

古くからある例えだけど、フェラーリはメジャーではないからいずれなくなってしまうのだろうか?
フェラーリにはフェラーリの未来がある。単に自動車に乗りたいという人はフェラーリは買わない。しかし、ドライヴする体験に多くを望む人はフェラーリを欲する。それはフェラーリという体験を欲し、それを手に入れる財力がある人がいる以上廃れることはない。

パソコンの場合、価格格差が比較的小さい。体験を重視する人がMacを選択し続けることは容易に予想できる。Appleが終焉を迎えるとすれば、それは彼らのクリエイティヴィティ、そしてイノベーション能力が尽きた時なのではないか。

最後に面白かったインタビューとエントリーを一つづつ。
Steve Jobs: The Rolling Stone Interview
CNET Japan Blog - 梅田望夫・英語で読むITトレンド:スティーブ・ジョブズ、コンテンツ産業の未来を語る

※ちなみにMacintoshというパソコンはAppleの製品ラインアップにはもう存在していない。

Posted by tomo at January 15, 2004 3:35 AM | MISC | TrackBack |

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