「灰羽連盟」のサントラ「ハネノネ」を買ってみた。聴いてみるとDVDを見ていたときに感じた事柄を越えて、音楽そのものが持っている魅力を再認識した。自分の中では「灰羽〜」の世界観を形成するのに必要不可欠な要素がこの音楽だったのだと理解した。
まったく無自覚だったので今頃になって気づいたが、私がアニメを評価する基準はその「音楽」にあるらしい。
80年代後半あたりからアニメはつまらなくなってしまって、当時中学生だった私から見ても見るべき作品はあまりなかった。ただ宮崎駿というかジブリものは例外でその後もビデオでみたりしていた。それでも劇場でみたのは「耳をすませば」だけ。これは宮崎駿監督作品じゃないんだけどとても素敵な作品だった。これを見たきっかけはまたしても音楽で偶然TVでみた番宣?から流れてきた音楽に惹かれて劇場に足を運んだ。
その後エヴァを見た。これはとにかく作品自体が強烈な個性を持っていたので音楽の魅力に気づいたのは映画を見てから。…というか単純に鷺巣詩郎の魅力にヤラれたんだと思う。結局エヴァはDVDを未だに購入していないけど、映画版のサントラは持っているというアンバランスな状態。攻殻機動隊を見たのはその後。
その後は定期的にアニメを見ている。そのなかには「ちびまる子ちゃん」とか「こち亀」なども含まれているけど、きちんと正式にハマったアニメは数えられる。「カウボーイ・ビバップ」「エスカフローネ」「NOIR」「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」そして「灰羽連盟」。
わかる人にはわかると思うけど、どの作品もその音楽がとても魅力的なものばかり。菅野よう子作品が3つ入っているのは決して偶然じゃないと思う。菅野よう子だから〜、というわけで好きになったわけではないのだけど、気がつくと菅野よう子作品は身のまわりにあふれている。「カウボーイ・ビバップ」のサントラなどは今でも定期的に聴く。
それとは別に印象的だったのは「NOIR」。これはホントに偶然第1話の放映時にTVを見たのがきっかけで一発でハマった。アニメにはあまり見られないようなカメラワーク(って言っていいのか?)による映像の斬新さもさることながら、その音楽のセンス。まず、オープニングテーマ<コッペリアの柩>これがまたきわめて個性的な曲で、一度聴くと忘れられない。それに加えて梶浦由記による本編の音楽がまたまたさらによく、曲だけ聴いていても充分に聴けた。エンディングの新居昭乃による<きれいな感情>もまた美しい作品で、繊細なのに力強く美しいリリシズムをもった曲。録音も生モノ一発っぽいアコースティックな肌触りを重視していてハートにガツんとくる。
音楽がとても充実していた「NOIR」の中でも印象的だったのが梶浦由記による<canta per me>。タイトルを見たとおりこの曲の歌詞はイタリア語。これだけで充分にツボなのだが、通奏低音っぽい弦のきざみの上に乗ったマドリガーレ風のコーラスが『アリア・アンティーケ』に出てきそうな雰囲気を持っていて実に魅力的。これが夜中に見ていたアニメから聴こえてきたときは心底驚いた。
…さて、やっと本題。
ここまで読めた方は理解できると思うけど、私の場合、アニメの印象のほとんどはその音楽にかかっていると言ってもいい過ぎではない。音楽とサウンドが構築するテイストがそのアニメの持つ世界観に決定的な影響をおよぼしている。
逆の意味でよい例なのが「ガンダム」。私はまぎれもなくガンダム世代だ。小学生の時にファースト・ガンダムを見た。ガンダムは私に強い印象を残したのは事実。しかし私の心に深く入り込めなかったのはひとえに音楽がイマイチだったからだと思う。
それとは別になぜ実写の映画ではなくアニメなのか。もちろん、映画のサントラにも素敵な作品はたくさんあって、自分で気に入っているものも多くある。でも、あえてアニメのサントラに強く惹かれるのかといえば、それはアニメ・キャラの持つ象徴性というかシンボルとして持っている抽象性が音楽のもつ抽象性とよく馴染むからだと思う。
音と映像が混じり合うポイントは、表面的な特徴でななく作品の背後にあるその映画の雰囲気と強く結びつくことができるという点にある。音楽は具体性を持ちにくい。しかし、だからこそ、言葉と言葉の間にある感情や感じ方の変化に音楽は追従することができる。それを表現し言葉や表情を補うことができる。
今回取り上げた「灰羽連盟」も音楽と絵、それにストーリーがわかちがたく結びついた作品だ。もし、音楽が異なっていたら見向きもしなかったかもしれない。あのサントラは作曲家に訪れた奇跡の瞬間の一部をとらえているような気がしてならない。そう思わせるほど、あの音楽には素敵なインスピレーションが満ちている。音楽的なよろこびがあふれている。決して楽しそうな曲ばかりではないのに。
そこから感じることのできるテイストは、映像がもたらしてくれるテイストと分ちがたく結びついて、私の心を捕らえて離さない。
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